「観測ビッグデータ同化」による大地震時のリアルタイム避難者分布推定技術の開発
【研究キーワード】
避難行動 / 物的被害 / グラフニューラルネットワーク / データ同化 / シミュレーション / ビッグデータ / 機械学習 / 防災・減災 / 大地震 / リアルタイム予測 / リアルタイム推定 / 避難シミュレーション
【研究成果の概要】
2020年度には,Gretel [Cordonnier et al. 2019]と呼ばれるグラフニューラルネットワーク(GNN)モデルと,データ同化手法の一つであるパーティクルフィルタを統合した,データ駆動型の新たな避難者分布予測モデルを提案した。
2021年度は,上述の避難者分布予測モデルを改良するとともに,擬似的な観測避難者分布の生成に用いていているエージェントベースシミュレーションの結果と比較することで,主に計算時間と予測精度の観点からモデルの有用性を検証することを試みた。
具体的には,第一に,2020年度時点では十分に考慮できていなかった時刻情報を考慮できるよう,入力データの仕様や計算プログラムの改良を行った。時刻情報は,データ同化を行うにあたって重要であるため,発生からの経過時間に応じた道路閉塞状況のみならず,各避難者の位置情報も時刻情報とセットで扱うようにした。加えて,ベースとして用いているGretelは局所的な状況に基づき将来予測を行うものであるが,この特性は目的地(避難場所)をもって行動する避難行動とは乖離がある。そこで,道路ネットワーク上の各交差点(ノード)から各避難場所までの距離をノードの特徴量として組み込むことで,より大局的な避難行動の傾向を考慮した予測を可能とすることを目指した。
また,GNNに学習させる避難行動軌跡数やデータ同化で用いるパーティクル数と,計算コストや予測精度との関係を分析し,リアルタイム予測に求められる要件や期待できる精度について検討を試みた。
【研究代表者】