ネット社会の展開と社会的信頼性の関係に関する日韓比較研究
【研究分野】社会学
【研究キーワード】
インターネット / 日韓比較調査 / 社会的信頼性 / アンケート調査 / 新聞記事分析 / メディアへの信頼 / 日韓比較 / 社会的信頼 / インタビュー / 質問票調査 / 一般的信頼性 / SNS
【研究成果の概要】
ネットの利用実態について日韓で比較し、また社会的信頼性やメディアへの信頼性との関連をみるために、2005年に東京とソウルで質問票調査を実施した。調査の結果、(1)パソコンによるネットの利用率は東京(71%)とソウル(69%)でほぼ同等にもかかわらず、携帯によるネット利用は東京がソウルより活発なこと(東京61%、ソウル9.7%)、(2)オンライン・コミュニティやSNSの利用はソウルの方が活発であること、また韓国のオンライン・コミュニティは既存の絆をベースとしたものが中心であること、(3)社会的信頼性については日本人が韓国人より低いこと、(4)ネット情報への信頼も日本人の方が低いこと、等が明らかになった。
2006年度は、ネットへの信頼性の低さの一因が既存のマスメディア報道に関係しているという仮説を検証するため、日韓の主要新聞におけるネット記事の内容分析を実施した。分析の対象は朝日新聞と東亜日報の2000年から6年間分の記事である。ネット関連の記事に登場した頻出単語のうち、コーダーによる判断によりネガティブ語10語(容疑、事件、逮捕、犯罪等)を抽出し、ネガティブ語を含む記事の発生比率等を分析した。その結果、日韓とも、全記事に対するネット記事の比率は2000年以降減少傾向にあるにもかかわらず、ネットに関するネガティブ記事はむしろ増加傾向にあり、またネット記事中のネガティブ記事の比率は韓国より日本が高いこと、等が明らかになり、仮説が検証された。
2007年度には、日本で参議院議員選挙、韓国で大統領選挙が実施され、その直後のネット利用について比較調査した。その結果、電子掲示板への書き込み等、情報発信に関しては韓国の方が活発であり、ネットが投票に影響を及ぼしていること、韓国では新聞よりネットへの信頼性が高いこと、一方、日本では新聞への信頼性が高いこと、等が明らかになった。
【研究代表者】