フラクタル幾何学を用いた新しい岩石破壊力学の構築に関する総合的研究
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
破壊 / フラクタル / 地下き裂群 / 数値シミュレーション / 岩石
【研究成果の概要】
本研究は、理学の分野で地球科学への応用として試みられてきたフラクタル幾何学の破壊現象への応用と工学の分野で地熱開発への応用を目指して整備されてきた岩石破壊力学を融合させ、新しい岩盤の破壊現象を取り扱う学問分野の基礎を構築することを目的とする。
研究課題ごとに本年度の研究実績の概要を以下にまとめる。
(1)フラクタル幾何学と地下き裂の三次元モデルとその画像化
昨年度に構築された三次元フラクタルき裂群モデルを用いて、地熱貯留層からの熱抽出特性の評価を行った。この結果、地熱貯留層からの熱抽出量の経時変化が、貯留層規模および貯留層内のき裂密度の関数として予測できるようになった。さらに、熱抽出におよぼすき裂密度の影響を詳しく検討するために貯留層内の任意の断面での温度分布の変化をコンピューターのディスプレイに表示される技術を開発し、地熱貯留層からの熱抽出におけるき裂群の重要性を明らかにした。
(2)岩石の引張軟化剤とフラクタル破壊モデル
(3)AE計測によるフラクタル破壊モデルの検証
これらの研究課題についてはお互いに密接に関連しているため会わせて研究を実施した。昨年度の平面格子モデルを格子のモーメントをも考慮したモデルに改良し、本年度はCT試験片モデルを用いて岩石破壊の数値シミュレーションを実施した。また、併せて数種の岩石を用いて岩石破壊実験も行った。AEの放出挙動および破断後のき裂の形状等の観測の結果、数値モデルと実際の実験でよい一致を示し、岩石破壊モデルとしてフラクタル格子モデルが有効であることが示唆された。
【研究代表者】