岩石のクリープの加速試験
【研究分野】資源開発工学
【研究キーワード】
岩石 / 湿分 / 構成方程式 / 時間依存性 / 加速試験 / 数値シミュレーション / クリープ
【研究成果の概要】
以前大久保らによって提案された構成方程式に若干の改良を加え、実験結果を再現することを試みた。気乾状態と湿潤状態とでは、ヤング率Eと強度σ_Fが異なるが、δは不変として計算すれば、上述した諸実験結果をかなり良く再現できることがわかった。
いくつかのクリープ応力にて一軸圧縮クリープ試験をおこなった結果、クリープ寿命は(σ_F-σ_c)により整理できることがわかった。すなわち、気乾状態でも湿潤状態でも、寿命はexp{δ(σ_F-σ_c)}に比例することがわかった。載荷速度が10倍となると一軸圧縮強度は、気乾状態でも湿潤状態でもΔσ=1n(10)/δだけ上昇するが、これに呼応して、クリープ試験では、Δσだけクリープ応力が変わると寿命が1桁(10倍)変わることがわかった。
クリープ歪みの経時変化を調べた結果、1次クリープは近似的に対数クリープ則に従うこと、3次クリープでは歪み速度が残存寿命に反比例することがわかった。また、寿命で正規化したクリープ曲線は、クリープ応力の大小、試験片の乾湿に拘わらず、全測定結果がほぼ重なることがわかった。
提案した構成方程式とパラメータの値を使用して数値計算をおこなった結果、気乾状態と湿潤状態の一軸圧縮強度の載荷速度依存性のみならず、両状態のクリープ寿命のクリープ応力依存性をかなり良く再現できることがわかった。また、両状態のクリープ曲線もかなり良く再現することがわかった。
本研究は、湿潤状態の岩石の時間依存性を調べることを主テーマとして一軸圧縮応力下での実験を進め、気乾状態と湿潤状態との破壊・変形機構はさほど変わらず、ただ単に湿潤状態での現象の進行速度のみが加速されているとの結果を得た。
【研究代表者】