水田生態系における放射性セシウムの動態とイネへの移行の解明
【研究分野】作物生産科学
【研究キーワード】
放射性セシウム / 水田 / イネ / セシウム / 自然災害 / 稲 / 水田生態系
【研究成果の概要】
福島原発事故でセシウム汚染米が収穫された水田(伊達市小国)を対象に、翌年(2012年)以降も継続的に試験栽培を行い、セシウム吸収の経年変化を追跡した。セシウム吸収の減少は緩慢であり、未だに100ベクレルを超える玄米が収穫されている。主要な要因は、土壌へのセシウム固定が2012年以降ほとんど進行していないことと考えられる。かたや灌漑水からの水田へのセシウム流入は、2013年以降は玄米への蓄積にとって問題とならないレベルにまで下がった。なお、2011年の汚染米の産出はきわめて局所的であったが、この局在性には土壌の母材の種類が強く影響していることがポット実験より確認された。
【研究の社会的意義】
水田地帯が原発被害を被った事例は、今回の福島が史上初である。その中でも、吸収抑制対策を一切施していない農家水田でモニタリングを継続した研究事例は、本研究がほとんど唯一ではないかと考えられる。本研究を通じて得られた成果は、福島県伊達市を中心に施策に活用されてきた。本研究結果を踏まえ、稲セシウム吸収のリスクマップ作成を今現在も進めており、その成果は将来にわたって福島の食の安全に資するものと考えている。
【研究代表者】
【研究協力者】 |
黒沢 崇 | 伊達市産業部 | 農林整備課 | 課長 |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2013-04-01 - 2018-03-31
【配分額】46,020千円 (直接経費: 35,400千円、間接経費: 10,620千円)