植民地期東南アジアにおける気候変動と社会変容―人文歴史気象学の創成
【研究キーワード】
東南アジア / 植民地 / 気候 / 農業 / 治水 / 歴史気候 / 環境 / 植民地期 / 降雨 / 台風 / 都市計画 / 歴史気象 / 都市 / 降水量 / 都市形成 / 気候変動 / 植民地統治 / 植民地経済
【研究成果の概要】
2020年度は海外調査に出ることができずデータの収集に大きな困難があったが、分担者は過去に集めたデータを分析するなどしてそれぞれ研究を進展させた。財城はジャワの日降水量データを分析して、1901-1916年における降雨パターンの季節的特徴を解析した。特に少雨年であった1905年において、既存の全球グリッドデータを使用して事例解析を行うとともに、同データの信頼性を検討した。赤坂は、マニラの気象観測資料における多雨年、少雨年において、台風の襲来時期に関する情報を整理・分析した。その結果、それらの年における台風径路の特徴を明らかにできた。またAteneo de Manila大学図書館で得た新聞資料に天候情報が掲載されているのを確認し、データとしての利用可能性を検討した。同館所蔵の旱魃や洪水に関する調査報告からも貴重な気象データが得られることを確認した。研究協力者の笹本は、バタヴィアにおける雨季(1月~3月)の洪水の経年変化を1850年~1940年において確かめた。また、チリウン川流域の日降水量を確認し、洪水発生日が不明確だった記録を1879~1900年において見直した。さらに、上流での大雨による下流における洪水が明確な月降雨量と洪水の関係を明らかにした。加えてスマランにおける河川改修工事の内容や考え方の変遷を検討し、洪水の発生との関連を分析した。長田はラングーンにおける都市計画の展開を検討し、人口増に加えて低湿地という環境上の問題が都市計画において考慮される大きな要因となっていることを明らかにした。太田はバタヴィアにおけるマラリア流行に関する先行研究を収集して検討し、バタヴィアの降水量データと関連づけて分析可能であることを確認した。塚原は1860年代にアチェ周辺を公開したオランダ海軍船のログブックを分析し、貴重な気象データが得られることを確認した。
【研究代表者】