分子複合体のX線解析による蛋白質の分子認識機構の研究
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
蛋白質 / DNA / 分子認識 / 構造生物学 / X線 / 複合体 / 結晶 / 蛋白質-DNA / 転写因子 / G蛋白質 / 二成分系
【研究成果の概要】
本研究では、分子認識の厳密性と助長性という生物物理学の観点から、転写因子によるDNA認識、ならびにシグナル伝達蛋白質の分子認識に関して分子複合体結晶のX線結晶解析を主力とした構造生物学的研究を行った。転写系では、酵母由来のリン酸代謝系の転写因子PHO4、マウス由来のインターフェロン関連遺伝子の転写因子IRF-2、及び分裂酵母由来のbZIP型転写因子PaplのDNA複合体の構造をそれぞれ決定して、塩基配列認識の詳細な機構を明らかにした。シグナル伝達系では、細胞骨格・細胞接着を制御する低分子量G蛋白質RhoAのRhoA/GTPγS複合体及びその標的蛋白質PKNとの複合体の構造を決定して、Rhoに特異的な機能領域の構造や標的蛋白質認識の機構を明らかにした。また、原核細胞に特徴的なHis-Aspリン酸リレーでは、嫌気性条件センサー蛋白質ArcBのリン酸転移ドメインやそれに働く蛋白質フォスファターゼSixAの構造を決定した。更に、酸化ストレスとシグナル伝達系との境界領域での研究としては、ヘム結合能を持つとともに、新規の酸化ストレスの応答のペルオキシダーゼ(ペルオキシレドキシン)であるHBP23の構造や、細胞外のシグナル制御系として、マウス海馬に高発現し記憶や学習に関与する新規セリンプロテアーゼであるニューロプシンの結晶構造を決定した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
清水 敏之 | 奈良先端科学技術大学院大学 | バイオサイエンス研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1997 - 1999
【配分額】33,300千円 (直接経費: 33,300千円)