振動モードの選択的励振に基づく多自由度超音波モータの研究
【研究分野】設計工学・機械機能要素・トライボロジー
【研究キーワード】
超音波モータ / 多自由度 / トライボロジー / 圧電 / 振動モード / アクチュエータ / 数値解析
【研究成果の概要】
従来の多自由度超音波モータは,複数の振動モードが縮退する振動子を用いて振動子表面に任意軸回りの楕円運動を生成するモータであった.これに対し,本研究では,球状回転子と振動子からなり,回転子の直交3軸回りの運動を,各振動子1つの振動モードの組み合わせによって実現する多自由度超音波モータを開発した.
はじめに,単一振動モードにより往復運動する振動子上の突起と回転子との接触部を離散的な接触点と線形ばねによってモデル化し,振動子・回転子間の摩擦力を考慮した数値解析モデルを構築した.本モデルを用いて振動子上の突起部における振動方向,振幅などをパラメータとして回転子の駆動特性を計算した結果,単一振動モードによって回転子を駆動できることが明らかになり,突起部での振動方向が駆動特性に大きく影響することがわかった.
つぎに,上記の数値解析の結果をもとに,振動子の3つの振動モードを選択的に励振することにより,球状回転子の多自由度回転運動を実現する多自由度超音波モータを設計した.本モータはマトリクス状に配置された4つの平板状振動子と,その上に置かれた球状回転子から構成されている.上記数値解析をもとに,各振動子に励振すべき振動モードの組み合わせを決定した結果,回転子に多自由度運動を実現し回転軸を制御できることを確認した.駆動実験の結果,最大トルク15mNmであった.
複数の振動子にそれぞれ1つの振動モードを励振し,選択的に組み合わせることにより多自由度運動を実現する超音波モータを開発した.すなわち,単一振動子による回転子の駆動状態を推定する数値解析手法を確立し,その結果から多自由度超音波モータのプロトタイプを試作した.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)