社会資本整備と国土利用
【研究分野】財政学・金融論
【研究キーワード】
社会資本整備 / 人材育成基盤整備 / 国立大学 / 地域計画 / 医療圏整備 / 徴税活動 / 地域間競争 / 教育政策 / データ包絡分析 / 効率性 / 人口 / 面積 / 地域間所得移転 / 地方交付税 / スピルオーバー効果
【研究成果の概要】
わが国のように国土が希少な国においては、社会資本整備等の国土利用の効率性が一層強く求められる。ここでいう社会資本整備の中心に位置づけられてきたのが、病院や社会福祉施設、博物館、美術館、ホール、道路網、橋、上下水道、空港、港湾といった公共投資にようて建設される公共施設である。これらは生活と産業の基盤であり、アダム・スミスが行政の基本的な役割として位置づけているものであるが、現状においては、行政と政治の信頼が最も揺らいでいる分野でもある。本研究期間内において、過去の社会資本整備の理念を整理する(第2章)とともに、現在の社会資本整備の効率性について、地域間競争モデルを構築する理論分析(第6章)の視点から、及び、医療政策(第4章)と整備に必要な財源確保のための税徴収の側面(第5章)からデータ包絡分析によって分析した。
特に、本研究では、社会基盤としての教育基盤の整備がわが国の大きな課題として力点が置かれている。地域における人的資本の蓄積は、地域の暮らしや地域産業の高付加価値化に貢献し、地域の可能性を高める。そのため、学校教育による人材の育成や人材が能力を発揮できる地域環境の整備、地域に一級の人材を引きつける基盤の構築に関心が持たれている。それは地域社会だけにとってだけでなく、国際競争下の日本にとって重要な課題である。本研究の中では、特に高等教育の在り方として、国立大学法人の形態に関する考察(第1章)、及び、教育政策に関する理論分析(第7章)が展開されている。
それらの分析結果をもとに、これからの社会資本整備と地域づくりを中心とした国土利用のあり方の方向性を示している(第3章)。現状においては、社会資本整備と国土計画に関しては、「国民所得の最大化と地域格差の是正」に続く次の時代のための理念が模索されている段階であり、本研究では、広域的整備、厳正な評価、住民への説明、競争と事業の効率性等をキーワードに、社会資本整備のあり方に一つの方向性を見いだしている。
【研究代表者】