逆問題解析におけるアプリオリ情報の有効利用に関する研究
【研究分野】計測・制御工学
【研究キーワード】
等価ダイポール推定 / PET画像 / ネットワークインバージョン / 動的正則化 / アプリオリ情報 / インピーダンス・トモグラフィー / 曲面推定 / ステレオ画像 / ネットワークインバーション / 地理画像 / 遺伝的アルゴリズム / 複号化問題
【研究成果の概要】
本研究では、脳内の神経活動分布を頭部表面電位やPET装置を用いた計測結果から逆推定する種々の方法について、アプリオリ情報の一表現形態である「動的正則化」の手法を適用することで、不適切問題の適切化をはかる方式の効果を評価した。
まず、脳内活動の等価ダイポール表現に対しては、イポール相互の距離の関数としてダイポール相互の関係に協調関係を仮定し、推定すべき解の自由度を実質的に低減することで逆問題としての不適切性を回避し、3個程度のダイポール推定が安定に行えるものとした。この方法によれば、ある面積を持った皮質の活動を、三角形の各頂点にダイポールを配したモデルで表現し、誘発電位などの時間的推移を、三角形の移動軌跡として的確に把握することが可能になる。
ついで、FDG代謝分布推定の問題では、順方向の問題をIIMMを埋め込んだ階層型ネットワークの配列で表現し、一定時間ごとに得られるPET画像データおよび血中FDG濃度を教師データとしたネットワークインバージョンによって、時間的推移の連続性というアプリオリ情報を生かした形で脳内糖代謝の画像化を可能にした。
また、電気インピーダンス・トモグラフィーにおける導電率分布の逆推定問題をとりあげ、特に組織内の電流分布を摺動部無しに連続的に制御することのできる磁気併用型四電極法の計測データについて解析を行った。この場合、少数個の電位計測電極から得られる電位データから、導電率の分布を画像化する問題は、いわゆる不適切問題を構成する。この逆推定問題の解法について導電率の分布が同一組織内では急激には変化しないというアプリオリ情報を正則化項として加えた動的正則化の手法を適用し、不適切問題の適切化をはかり、その効果を実験的に確認した。
さらに、ステレオ画像からの曲面推定問題では、対応点を自動的に探索するネットワークと、微小曲面間の高次連続性を考慮した再構成アルゴリズムを組み合わせることにより,逆問題の不適切性を排除する方式を提案した。また、この方式を航空写真からの地表曲面の生成問題に適用し、実画像によりその有効性を確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
亀山 啓輔 | 筑波大学 | 電子・情報工学系 | 講師 | (Kakenデータベース) |
ビチャイ サエチャウ | 東京工業大学 | フロンティア創造共同研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
小俣 透 | 東京工業大学 | 大学院・総合理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
IREN Valova | 日本学術振興会 | 外国人特別研究員 |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 2000
【配分額】11,300千円 (直接経費: 11,300千円)