弾性表面波の定在波を用いたマイクロ液体駆動デバイスに関する基礎的検討
【研究分野】設計工学・機械機能要素・トライボロジー
【研究キーワード】
弾性表面波 / 定在波 / 液体 / 液滴 / 搬送 / 霧化 / ポンプ / マイクロTAS / 霧化器 / 定在波振動 / 圧電基板 / ニオブ酸リチウム
【研究成果の概要】
ニオブ酸リチウムなどの圧電基板上に励振される弾性表面波を用いて,液体の霧化や搬送が可能であることが従来から知られている.従来,弾性表面波を用いて液体を霧化・搬送するデバイスとしては進行波を用いたものが知られていたが,研究代表者らは,定在波振動を利用することで,より小型で高効率なデバイスが試作可能であろうと考え,前年度において,定在波を用いた液体の霧化・搬送に関する基礎的な研究を行った.この結果,定在波振動は,特に,液滴の霧化に適していることを見いだし,本年度をこの点を応用して,液滴マイクロTASへの応用について研究を行った.
マイクロTASは,微少量の試薬を用いてチップ上で様々な化学反応や検査等を実現する技術であり,近年研究が盛んとなっている.従来のマイクロTASでは液流を用いる例が多く見られたが,最近では液流に代えて液滴を用いることで,より少ない液量で精密な化学反応を実現することが提案されている.しかしながら,液滴でマイクロTASを実現するためには,液滴の搬送や混合のための新たな技術が必要とされる.そこで,前年度の成果をもとに,1枚のニオブ酸リチウムウェハ上に,液滴の搬送,混合,霧化を行う機構を組み込むことで,液滴マイクロTASデバイスを実現した.本デバイスでは,液滴の搬送には,従来から知られる進行波による搬送技術を用いたが,複数液滴を同時に扱うために,液体滞留部を有する液滴流路を新たに提案し,これにより複数液滴の搬送と混合を実現した.また,同じ基板上にて,定在波振動を用いて混合液滴の撹拌と霧化を実現した.さらに,水滴と油滴を混合した液体を定在波振動により撹拌することで,油のエマルションが生成できることも新たに見いだした.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山本 晃生 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)