非定常部分弾性流体潤滑の定量的理論とその実験的検証
【研究分野】設計工学・機械要素・トライボロジー
【研究キーワード】
トライボロジー / 潤滑 / 混合潤滑 / 弾性流体潤滑 / カム / 数値計算 / 実験
【研究成果の概要】
本研究は集中接触する機械要素の動的な混合潤滑特性を定量化する理論モデルを構築し,数値解析を行い、解析結果を実験と比較することで実用的な解析モデルを確立することを目的として行われた.
そのためまず,従来の混合潤滑と弾性流体潤滑計算に用いる諸式に加えて,エネルギー方程式も連立させて解くことにより,まず定常状態において流体の粘弾性に及ぼす温度の影響と固体接触部の発熱を加えた熱弾性混合潤滑(TEHML)解析を行った.その結果,従来の弾性混合潤滑(EHML)計算により得られる膜厚と比較すると,TEHML解析では熱の発生が非常に大きいために,従来の計算結果と比較すると,特に,低いすべり率の状態でも薄い膜厚となり,そのために,固体接触による摩擦力が全体の摩擦力の9割以上を占める結果となり,厳密な熱解析が特に接触部の摩擦力の見積もりに必要であることがわかった.
つぎに,この非定常混合潤滑の例としてカムとフォロワ間の潤滑について、上述のTEHML解析にカムの運動方程式と油膜のスクイズ効果を加えて解析を行った.計算の結果,カムのノ-ズ部のような急激に圧力の変化する部分では,流体の断熱圧縮,膨張による温度の変動も無視できないこともわかった.さらに,この計算結果の妥当性を検証するために,カム摩擦試験機を製作し,摩擦力測定試験を行った.計算結果との比較では定性的な一致はしたが,試験機の剛性不足により,測定結果に装置の固有振動が影響してしまい,実験データの信頼性が十分ではなかった.そこで,さらに装置の全面的な見直しを行って改良を施した.この改良後の装置では,装置の固有振動の影響が大幅に改善され,測定結果の信頼性が向上し,回転数の測定範囲が広くなり,高い回転数での測定も可能となっていたが,装置の改良に手間がかかったため計算結果と比較出来るデータを得る時間はなかった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
京極 啓史 | 東京工業大学 | 工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】1,000千円 (直接経費: 1,000千円)