光・磁気駆動型マイクロアクチュエータの基礎研究
【研究分野】設計工学・機械機能要素・トライボロジー
【研究キーワード】
マイクロアクチュエータ / 光誘起磁性体 / スピントロニクス / 偏光 / GaAs / 光誘起磁化 / 微細梁
【研究成果の概要】
本研究では,はじめに,GaAs-Fe/GaAs薄膜を,二層成長によって作製し,その磁化測定や,X線回折測定を行なうことで試料の評価を行なった.200℃の低温で作製した二層成長試料に,熱処理を加えることによって,約0.9×10^<-9>Wb/mの大きな光誘起磁化変化を示す試料を作製したが,試料の温度上昇による磁化変化の増加も含まれることが明らかになった.また,以前のアクチュエータで問題となっていたSi微細はりとGaAs-Fe/GaAs薄膜との接着構造を廃し,GaAs-Fe/GaAs薄膜からバルクマイクロマシニングによるアクチュエータの試作に取り組んだ.その結果,長さ10mm,幅2mm,厚さ30μmの片持はり型アクチュエータの試作に成功した.
次に光・磁気駆動型マイクロアクチュエータの,光誘起磁化に起因する変形,レーザー加熱による熱変形と熱磁化による変形を分離評価する手法を提案し,試作アクチュエータに適用した.その結果,レーザーパワー増加に伴う光誘起磁化に起因する変位の増加,光誘起磁化による応答の高速化を観測した.レーザーパワー8mWにおいて,アクチュエータ変位0.93μmの中で光誘起磁化に起因する変位は0.08μmであり,変位全体における寄与率は8.2%であることを明らかにした.
また,光・磁気駆動型マイクロアクチュエータにおける変位発生メカニズムの解明のために,アクチュエータ駆動用レーザーの円偏光の影響を検討した.その結果,左円偏光の方が右円偏光より磁化変化が大きいことを発見した.また,光・磁気駆動型マイクロアクチュエータにおけるバイアス磁界の印加磁場方向の影響を検討した結果,磁束がGaAs-Fe面からGaAs面へ通過する方向の方が逆の方向より磁化変化が大きいことも発見した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
下河辺 明 | 東京工業大学 | 精密工学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
宗片 比呂夫 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】2,900千円 (直接経費: 2,900千円)