メゾスコピック系における非平衡スピン輸送の微視的理解とその制御
【研究分野】物性Ⅰ
【研究キーワード】
メゾスコピック系 / スピントロニクス / 非平衡 / ゆらぎ / 近藤効果 / 超伝導 / スピン流 / 熱流 / アンドレーエフ散乱 / スピン依存伝導 / 量子液体 / 位相 / ナノエンジン / 国際研究者交流 フランス
【研究成果の概要】
微細加工技術を駆使して作製される微小な固体素子は、非平衡状態を定量的に観測・制御することのできる理想的な舞台の一つである。本研究では、精密な伝導度・ゆらぎ測定と種々の理論的アプローチを組み合わせることによって、固体中を電荷とスピンが輸送される微視的な過程を研究した。近藤効果・スピン流・熱流・ゆらぎの定理・端状態・超伝導接合などに対して本質的な新展開をもたらす多彩な成果を上げた。特に、非平衡状態における近藤効果の研究によって、強相関量子液体の非平衡挙動を定量的に解明した。
【研究の社会的意義】
本研究では、固体中における電荷とスピンの様々な振る舞いを実験的・理論的に解明した。中でも近藤状態の最新の理論を定量的に検証した成果は、これまでの非平衡量子多体系の実験的研究の中で、最も定量性の高い精密なものであり、普遍的な学術的意義を持つ。「非平衡」は現代物理学における最大の難問の1つである。近藤効果は代表的な量子多体効果であり、平衡状態における理解が確立している点で、非平衡を研究する格好の舞台である。その振る舞いを定量的に理解できたことは、今後の非平衡研究の重要な基盤となる。
【研究代表者】