電磁波吸収の波長依存性に着目した多孔質媒体内3相流体分布の可視化・定量化
【研究分野】資源開発工学
【研究キーワード】
多孔質媒体 / 三相流体分布 / エネルギー分散型計測 / 連続X線 / CT技術 / 質量吸収係数 / 吸収端 / 3相流体分布 / イメージングプレート
【研究成果の概要】
土壌・地下水汚染に対するより効果的な浄化対策のためには,多孔質媒体中の多相流れについて,適切なモデル化を行うことが必要であると考えられる.本研究では,そのモデル化に必要と考えられる,多孔質媒体中の水・オイル・ガスの3相流体分布を定量的に計測し、また,その経時的な変化を捉えることが可能なシステムを開発することを試みた.その結果,以下のことが示された.
2次元多孔質媒体中の水・オイル・ガスの3相流体分布を短時間で計測するための手法として,多孔質媒体に連続X線を照射し,透過X線強度に対してエネルギー分散型の計測を行うという手法を適用した.ここでは,特に,計測値に対して移動平均処理を行い,さらに適切な2つのエネルギーの計測値に注目することで,多孔質媒体中に存在している3相流体を定量化する手法を提案した.
具体的には,まず,2次元多孔質媒体中に存在している3相流体の各相の量が既知である場合に対して透過X線強度の計測を行った.その計測値から得られた流体各相の量と実際の量を比較することで,理論的に導かれた定量化手法が妥当であることを確認した.
次に,3相流体が空間的に分布している2次元多孔質媒体に対して,全体にわたって透過X線強度の計測を行った.その計測値から,確認した手法を用いて3相流体分布を定量化することができた.
さらに,従来のCT技術に,新たにエネルギー分散型計測を付加することで,多孔質媒体中に存在している3相流体分布を3次元的に定量化できる可能性について検討した.本研究では,多孔質媒体中の1断面に対するファンビーム投影による投影データから,重畳積分法を用いて,その断面の画像再構成を行った.その結果,エネルギー分散型計測が誤差を有していたとしても,十分な精度で多孔質媒体中の3相流体分布を3次元的に定量化できることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岩井 卓 | 出光エンジニアリング(株) | 技術部・研究員 |
宮本 英昭 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2002 - 2003
【配分額】2,900千円 (直接経費: 2,900千円)