分光測定および第一原理計算を用いた光触媒・電解液界面構造の解明
【研究キーワード】
光触媒 / 雰囲気XPS / 第一原理計算 / その場観察 / 半導体 / 界面 / 表面 / 水素製造 / 水分解 / AP-XPS / OCP / 光電気化学 / 界面化学
【研究成果の概要】
安価で高耐久な水素生成用の光触媒材料が開発されればカーボンニュートラル社会の実現に貢献することが気体される。水素製造用光触媒は光触媒(半導体)/電解液界面で反応が起きるのだが、この界面があまりにも複雑なことから、体系的に光触媒材料の高効率化に向けた研究をが困難である。そこで、本研究では、分光測定法および、第一原理モデリングを併用することで、光触媒・電解液界面の構造を調べている。まずは測定結果と第一原理モデリングの結果を比較するため、解析が容易な、理想的な界面構造を扱うこととした。手始めに、水分解において光触媒材料として動作する半導体材料としては比較的結晶品質の良いGaN結晶を用いた解析を行った。
雰囲気X線光電子分光実験を行った。その結果、半導体/電解液界面のXPSスペクトルを測定した。また、同結果を反応場を模擬した第一原理計算結果と比較することで、吸着物(H2Oやその分解生成物)や、半導体電極のスペクトルの帰属を行った。
第一原理計算と併せることでスペクトルの帰属を行うことで、界面の幾何・電子構造を定量的に評価することができた。また、界面では半導体側(バンド曲がりや半導体/担持物界面のバンドオフセット)と電解液側(電気二重層におけるポテンシャルシフト)の効果があらわれるが、基板表面原子のコアレベルから半導体側の情報を、気相の水蒸気のO1sから溶液側の情報をそれぞれ分離して得ることで界面電子準位接続の詳細を明らかにすることができた。
また、半導体/電解液界面の第一原理モデリングによって界面構造の予測も行った結果、半導体表面の欠陥などによって、理想表面に関する理論予測結果と完全には一致しなかったが、概ね予測結果が正しいことが示された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)