高圧流体中での晶析・表面反応過程を模擬した実用シミュレータの開発と設計指針の確立
【研究キーワード】
核生成 / 晶析 / 超臨界水 / 分子シミュレーション / 亜臨界水 / 臨界核 / 密度汎関数法 / 離散要素法 / 結晶核生成 / 超臨界堆積法
【研究成果の概要】
本研究では、実機での課題発見・解決に必要な晶析・表面反応機構を模倣するために、分子シミュレーションと離散要素法(DEM)を活用した核生成・表面反応過程を模擬する実用シミュレータを開発し、実機レベルでのナノ粒子生成や固体表面反応過程を可視化して、製造プロセスの知見・設計指針の提供に資することを目的とした。
上記の目的を達成するために、本研究では、まず晶析・表面反応過程を分子レベル(量子化学計算、分子シミュレーション)で解明して、晶析モデル構築に必要なミクロ物性値の取得(核生成に必要な活性化エネルギーや臨界核半径)を目指す。続いて、分子レベルでのミクロ物性値をメソスケールでの核生成モデルへ適用するために、DEMへ適用できる核生成モデルを開発し、晶析・表面反応過程を模倣する実用シミュレータの開発を目指している。
これまでに、メソスケール計算に適用できる核生成モデル構築のために、DFT計算とMD法を用いて結晶化過程を模擬することが可能になった。令和3年度では、引き続きMD法を用いてZnO 晶析過程の模擬を行い、ZnOを模倣するAll-Atomモデルの構築および妥当性の検討を行った。分散力にLennard-Jones ポテンシャルを用いたLJ モデルを用いたシミュレーションからはFCC構造が得られ、速やかに結晶化することを明らかにした。また、分散力にBuckingham ポテンシャルを用いたHwang モデルの場合では、六方晶系のウルツ鉱型構造を取る傾向が示唆された。さらに、結晶化過程の温度・濃度依存性も見積もることが可能となった。
【研究代表者】