高電圧非線形波動の衝突を用いた発光現象とその応用
【研究分野】電力工学・電気機器工学
【研究キーワード】
紫外光源 / 高速高電圧パルス / 非線形波動 / ソリトン / 半導体パワーデバイス / ディスプレイ / 電子ビーム / サイリスタ
【研究成果の概要】
紫外領域に広がる短波長光源は、光化学、表面処理、ディスプレイデバイスなど各種の産業において要求が高く、とくに高効率、高強度、高繰り返しの動作特性が必要である。これを満足する実用的な光源の実現には、半導体パワーデバイスを用いた高速高電圧パルス電源が不可欠である。本研究は非線型伝送線路を導入することにより、半導体パワーデバイスを用いても、立ち上がり時間が数10ns以下の高電圧パルスを実現できる技術を確立することを目的とした。高電圧パルスを発生するために非線型波動を利用すると、多様な形式が可能で回路設計に自由度をもたせることができる。まずソリトンの積極的な利用を検討し、ソリトン発生の高効率化、複数の非線型線路を用いてソリトンの衝突あるいは重畳が可能な回路設計について、回路シミュレーションをもとに回路パラメータを決定する指針を得た。またソリトンを衝突あるいは重畳させる回路は、それぞれ動作特性が異なるので、負荷に適合するよう選択すれば良いことを明らかにした。これらの知見は実験によっても確認している。次に市販のセラミックス粉末材料から非線型容量特性が顕著で、残留インダクタンスのきわめて低い高耐圧セラミックコンデンサを試作し、高耐圧化の問題を解決した。これを用いて低インダクタンスの高耐圧非線型伝送線路を実際に構成し、出力15kV、立ち上がり時間14nsの高電圧パルスの発生を実現した。このパルスを放電負荷に供給し安定な放電を得た。さらにXeガスを用いた放電実験では、紫外光の発光効率が印加電圧パルス波形に大きく依存することを示し、立ち上がり時間の短いパルスを加えることにより高効率な紫外光発光を実現できることを明らかにした。
【研究代表者】