強誘電性/強磁性直交積層セラミックス薄膜による新機能創製に関する研究
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
強誘電体 / 強磁性体 / 薄膜 / マルチフェロイック / 磁歪 / 分極 / 積層薄膜 / エピタキシャル / シリコン / 直交 / 相互作用
【研究成果の概要】
強誘電性と強磁性の相互作用としてこれまで知られている現象として磁気電気効果(M-E効果)をあげることができる。このように、強誘電性と強磁性を組み合わせると、新たな現象や物性を見いだせる可能性が高く、実際学会でも急速に「マルチフェロイック」というコンセプトの発表は多く、盛り上がりつつある。申請者らは強誘電体と強磁性体の組み合わせを薄膜技術を用いてその相互作用を検討した。
強誘電体/強磁性体の積層薄膜に対して申請者が期待している相互作用は、外部磁場により強磁性体に磁歪を与え、その磁歪による歪みを強誘電体に作用させることにより、強誘電性に変調を与えるものである。本年度は強誘電体としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を、強磁性体として超磁歪材料であるTerfenol-Dを用いて、シリコン基板上にPZT/Pt/Terfenol-D/Si積層薄膜をRFマグネトロンスパッタリング法とPLD法を組み合わせて作製した。磁歪の大きさは自作のレーザー変位システムで測定し、in-situ磁場の印加による磁歪の変化を測定した。また、作製した積層薄膜についてPZTの強誘電性ヒステリシスループを外部磁場を変化させながら測定した。その結果、電界強度が小さいマイナーループの際に磁歪の効果は大きく現れて分極は向上することが明らかになった。しかしながら、電界強度が高く、強誘電体が飽和する場合には外部磁場による影響はほとんど観測されないことも見いだされた。このように、磁歪による強誘電性の変調は特にP-Eヒステリシスがマイナーループの場合に明瞭に観測されることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
水谷 惟恭 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
篠崎 和夫 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)