高靭性な固体酸化物形燃料電池の電極製造に向けた新しい設計基盤の構築
【研究キーワード】
多孔体 / 破壊 / 焼結 / シミュレーション / 固体酸化物形燃料電池 / FIB-SEM / プロセスシミュレーション / 機械材料・材料力学 / 燃料電池 / 微細構造 / 多孔質 / ペリダイナミクス
【研究成果の概要】
2020年度に引き続き,多孔体の破壊プロセスの予測モデルの構築に取り組んだ.2020年度基礎開発した破壊解析シミュレーターを用いて,多孔体の損傷評価と破壊シミュレーションを実施した.まず,キネティックモンテカルロ法による焼結解析コードを用いて,異なる製造条件の多孔体構造を多数生成し,シミュレーターで得られた多孔体構造に対して破壊シミュレーションを行い,多孔体製造条件と破壊特性との関係を明らかにした.また、破壊応力の空隙率依存性を求めた。
並行して,解析の妥当性検証と多孔体の破壊メカニズムの解明を目的とした基礎実験を行った.対象は,高い電子導電性とイオン導電率を併せ持つものの、熱膨張係数が大きく破壊が生じやすい空気極材料LSC(ランタンストロンチウムコバルタイト)とした。実験的に空隙率が異なる多孔質LSC材料を作製後,超微小硬度計の押し込み試験を実施し,弾性率や破壊靱性値の空隙率依存性を求めた.弾性率は空隙率が増加するにつれて減少し,空気極が使用される空隙率35%程度では,緻密時の弾性率はおよそ25%程度になることがわかった.また,破壊靭性値も,空隙率が大きいほど破壊靭性値が小さくなり,空隙率35%近くでは緻密時の35%程度となり、本傾向は解析と一致することを明らかにした.
続いて、LSC空気極とGDC電解質で構成される積層体の破壊メカニズムを明らかにするため、GDC上にLSC膜を拘束焼結した時の微細構造変化をFE-SEMで詳細に観察した.観察の結果、多孔質空気極側において、熱膨張係数差を起因として、粒界に沿った微小クラックの発生が観察された。本観察結果が、粒界において破壊が発生する解析と一致することを確認した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鹿園 直毅 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)