単結晶ジルコニアナノシートを利用した微小固体酸化物形燃料電池の開発
【研究キーワード】
固体酸化物形燃料電池 / ナノシート / イオン液体 / ジルコニア / MEMS / 電気化学
【研究成果の概要】
持続的な発展を実現するために環境に優しい次世代エネルギーが必要である。この次世代エネルギーに必要な要素は、1. 高いエネルギー変換効率、2. 高いエネルギー密度と出力密度、3. エネルギー燃料の種類の制約が少ないことである。現在の固体酸化物形燃料電池の課題の一つは電解質の薄膜化にあり、これが実現できれば動作温度の低温化、耐久性の向上、高効率化と高出力化、そして小型・軽量化が可能となると考えられる。そこで我々はイオノサーマル法というイオン液体でナノ粒子を結晶成長させる方法を取り入れ、ジルコニアのナノシートの合成に取り組んだ。
さらに、ナノプローブ電極搭載した走査型電子顕微鏡を用いて合成したナノシートの絶縁破壊電圧を調べた。絶縁破壊電圧はナノシートを実際に固体酸化物形燃料電池の電解質として利用したときに使える最大出力と関係のある重要なパラメータの一つである。電圧を 0 から 40V まで掃引したときの電流値をプロットしたところ、印加電圧が低い 0 から 10 V 付近では流れる電流が小さく、検出限界以下の電流値となった。また、電圧が 20 V 以上になると明確な電流が観測され、30 V 以上になると印加電圧に対して直線的に電流値が増加した。最高の印加電圧である 40 V 印加させたときの電流値は 5 pA 程度であった。プローブに流れた電流値から電流密度を計算したところ、250 mA/cm2 と比較的大きな電流密度になっていることがわかった(40 V 印加)。また、電圧掃引を何度か繰り返した場合には、流れる電流値が増加する傾向が見られ、さらにサンプルによっては数十ボルト印加した場合にナノシートが破壊される様子が見られた。
ジルコニアナノシートを燃料電池に利用するためのセルの設計に着手した。マイクロ流路を通じて水素やエタノールの燃料を供給し燃料電池特性評価システムを構築した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)