新規プラズマ結晶化プロセスを用いた酸化チタンベース機能薄膜の作製と特性
【研究分野】無機工業材料
【研究キーワード】
プラズマ / 結晶化 / 酸化チタン / ニオブ / 透明導電膜 / ミセル / ナノ粒子 / コバルト
【研究成果の概要】
平成19年度は酸化チタンベース透明導電膜の作製に重点的に取り組んだ。長谷川らはニオブをドープすることにより酸化チタンをITO並に低抵抗化できることを見出した。In地金の価格は透明導電膜への需要の増大とそれに伴う資源枯渇への危機感から高騰を続けている。このニオブドープ酸化チタンを有効に作製できればIT社会の持続的発展への寄与は極めて大きいと考えられ、アルコキシドと熱非平衡プラズマの組み合わせによる検討を実施した。
ニオブのアルコキシドとチタンのアルコキシドは加水分解性が異なるため、ブトキシドを中心に、それぞれ数種類について所定の溶媒中で還流処理により複合アルコキシドを作製することを試みた。またプラズマ処理の前処理として、大気中もしくは真空中での真空紫外光照射処理の効果についても合わせて検討した。プラズマ処理によりアナターゼ単相が結晶化し、危惧されたニオブの偏析はみとめられなかった。しかしながら抵抗値は低下せず、導電膜にはならなかった。このとき、XPSで評価したチタンとニオブの価数は4価と5価で、還元状態はほとんど観察されなかった。このため水素アニール処理を行ったところ、抵抗値が低下し、導電性が認められた。しかしながら、未だ透明導電膜として十分に低い抵抗値にまでは到っていない。アルコキシドの見直しと並行して、プラズマ照射条件を検討しており、酸素分圧を下げた実験を行っている。酸素が少ない条件でニオブ添加酸化チタンをいかに効果的に結晶化させるかが今後の課題である。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)