金属間化合物-酸化物複合酸素キャリア材を用いた高効率化学反応プロセス開発
【研究キーワード】
酸素キャリア材料 / ケミカルルーピング / 酸化還元反応 / 金属間化合物 / ケミカル・ルーピング / 固体触媒
【研究成果の概要】
新規酸素キャリア材(OC材)として「金属間化合物-酸化物複合型OC材」を設計、ケミカルループ型逆水性ガスシフト反応(RWGS-CL)へ適用しその性能について検討した。性能評価装置として熱重量測定装置および固定床流通式反応器を用い、生成物分析には四重極形質量分析計(QMS)を用いた。反応温度は400-600℃の範囲とし、OC材充填層にH2およびCO2を交互に供給、OC材の酸素吸放出性能および生成物の分析を行った。In2O3をベースに複数の遷移金属で修飾したOC材を中心に検討した。
その結果、Cu修飾またはCo修飾を施したIn2O3が、ペロブスカイト型酸化物やCe系酸化物といった既報のOC材を超える高いCO2転化速度を示すことが分かった。出口ガス分析から、転化したCO2は全てCOへと転換されており、メタン化や炭素析出といった副反応が起こっていないことが分かった。X線回折、X線吸収微細構造並びにX線光電子分光測定を用いて反応メカニズム解析を実施したところ、これらの新規OC材は反応雰囲気下で部分的に形成した金属間化合物とIn2O3界面で起こる素早い酸素イオン伝導に起因して、高いCO2転化効率を実現していることが分かった。また反応中に形成される金属間化合物の組成分析結果から、OC材調製方法を検討し金属修飾量の最適値を決定した。さらにCo修飾In2O3を用いたRWGS-CLでは、従来のRWGS反応の平衡制約を超えるCO2転化率を実現できることを見いだした。これらの結果から、新規酸素キャリア材料の設計コンセプトの有効性が示された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)