観測データに基づくAE解析による疲労機構解明
【研究キーワード】
アコースティック・エミッション / 疲労 / ベイズ推定 / 非破壊評価 / 構造物ヘルスモニタリング / AE(アコースティック・エミッション) / き裂進展 / 疲労き裂発生 / チタン合金 / マグネシウム合金
【研究成果の概要】
2021年度はAE計測・その場観察システムの構築と、AEと微視変形機構の関係を評価するためのモデル材料の準備を進めた。できるだけ試験片形状・寸法に依存しないAE波形を得るために、試験片は基本的に丸棒形状とし、その両端にAEセンサを固定した。ただし、き裂観察面は平面になるように対称性を保って加工した。AEセンサには、増幅回路を埋め込んだ高感度・共振型のものを用いた。疲労試験中には様々なノイズが想定されるが、機械的ノイズは周波数フィルタにより取り除き、電源ラインからの電気ノイズは治具に絶縁板を取り付けることで遮断した。また試験片つかみ部からのAE信号は、試験片の外側に取り付けたガードセンサにより取り除くことを検討した。油圧式疲労試験機では、通常20Hz程度の周波数で試験するが、AE計測を精度よく行うために周波数についても検討した。疲労試験の周波数を変化させたときのノイズレベルを確認したところ、1Hzの繰返し荷重を正弦波で与えることで、比較的低ノイズ環境での計測が可能であることがわかった。き裂発生の観察には、レプリカ法では効率的にデータを取得できないため、試験機コントローラからのトリガ信号により駆動するマイクロスコープと自動ステージを用いて、試験片全面の表面観察を行った。また得られた広域高解像度の画像データに対して、デジタル画像相関法(DIC)を適用し、結晶粒スケールのひずみ分布を表示できることを確認した。組織が微細なチタン合金については、極薄い金薄膜(数10nm)をスパッタリングしたあとに、蒸気にさらすことで、サブミクロンスケールの島構造を形成し、DIC解析に用いた。この方法により、繰返し荷重によるき裂生成を明瞭に観察できた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)