流れと構造を同時に解析できる粒子法の研究
【研究分野】流体工学
【研究キーワード】
粒子法 / MPS / 構造 / 連成 / 大変形 / 破壊 / 塑性 / 粘塑性 / 弾性体 / 仮想仕事の原理 / シンプレクティックスキーム
【研究成果の概要】
ここで研究対象としている粒子法(MPS法)は、本研究者により考案された連続体の数値解析法である。従来の有限差分法や有限要素法と異なり、計算格子を必要としないので、流体や構造物の界面を精度良く捉えることができる。粒子法はこれまで流れのシミュレーションに用いられてきたが、本研究では新たに構造のシミュレーションのための粒子法を開発する。さらに、これまでの方法と合わせることで、流れと構造を同時に解析できる粒子法が完成する。昨年度は、弾性体の粒子計算モデルを開発した。今年度は、塑性および粘塑性の粒子計算モデルを開発した。
昨年度に開発した弾性体のモデルでは、MPS法の粒子間相互作用モデルを支配方程式の代入し、粒子間が垂直バネと剪断バネで結合された表現に離散化した。弾性限界である降伏のモデルとしては、ミーゼスの降伏条件を垂直バネと剪断バネのそれぞれに課すこととした。塑性では大変形するにもかかわらず体積変化を小さく押さえなければならない。これはポアッソン比を0.5にすることで表されるが、0.5に近づくほど数値的不安定性が生じるという問題があった。粘塑性では、時間的な変形は粒子を直接移動させることでモデル化した。従って、大変形に対しても容易に解析が可能である。クリープ亀裂の進展とこれによる構造物の破断の2次元解析をおこない、格子を用いずに亀裂の自発的な進展を解析することができた。亀裂口の変位の解析結果は従来の実験と良く一致した。
本研究で新たに開発した構造物の粒子法は、弾性、塑性、粘塑性を動的にも静的にも解析できる世界でも初めての計算手法であり、格子が必要ないという特徴があり、構造物の大変形や破壊にも適用できるという利点がある。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)