コンクリート構造のライフスパンシミュレーション
【研究分野】土木材料・力学一般
【研究キーワード】
コンクリート構造 / ライフスパン / 自己充填コンクリート / 細孔組織構造 / 自己・乾燥収縮 / クリープ / 物質移動 / 自己収縮 / 強度モデル
【研究成果の概要】
本研究は、コンクリート材料・構造のフレッシュ・若材齢・硬化・劣化の各段階の挙動解析技術を組み上げ,コンクリートの誕生から壮年にかけた時間軸において,連続して追跡する技術の開発を目的として行われた.各段階における個別技術の検証,拡張及び精度向上を図ると同時に,それぞれを要素技術とした連成解析の構築に着手した.
(1)自己充填コンクリートの自由流動を追跡するため,コンクリートをペースト・細骨材・粗骨材の3相から構成される材料とした多相流動解析モデルの構築を行い,粗骨材の噛み合わせによる閉塞現象などを数値的に再現する事に成功した.
(2)細孔構造の幾何学的形状と熱力学的平衡を考慮し、任意の環境履歴下でのコンクリートの含水状態予測モデルの開発を行った.さらに乱雑さを有する細孔構造及び細孔内水分の粘性をモデル化する事によって,任意の履歴下の水分移動現象の予測が可能になった.
(3)若材齢の形成時に,互いに強く依存し合う水和反応・細孔組織形成・水分移動の相互連関を考慮した非線形解析技術の開発を行った.その結果,任意の材料に対し,形成途上にあるコンクリートの材料物性値が十分な精度を有して出力される事が可能になった.
(4)(3)の成果より,微視的機構に基づく自己・乾燥収縮,さらに両者の複合効果による体積変化に対して評価可能なシステムを構築した.また,持続的応力を受けるコンクリート部材の変形挙動に対する数値解析予測手法を提案した.
(5)(3),(4)の成果である熱・物質移動現象と,構造解析手法を組み合わせる事によって,部材の損傷,また損傷を介して促進される物質の侵入現象を予測する数値解析技術の構築を行った.
(6)細孔構造,含水状態を考慮した塩化物移動モデルの構築,また鉄筋腐食モデルの開発に向け検討を行った.さらに,鉄筋腐食によって低下するコンクリートの曲げ耐荷性状に対する算定法の提案を行った.
【研究代表者】