巨礫分布特性にもとづく1万年スケールのスーパー台風評価についての国際共同研究
【研究キーワード】
巨礫 / 沿岸災害 / 波浪 / 台風
【研究成果の概要】
本研究では,過去数百~数千年間に海中から移動し,陸域に打ち上げられた巨礫の移動限界とその分布について,北西太平洋を対象に国際共同調査・モデル開発を実施する.このため,近年および記録のない過去イベントで発生した巨礫の大きさ,物性,年代および沿岸地形について計測し,巨礫群の詳細な特性を把握する.第2に,巨礫の分布特性を説明可能な巨礫移動モデルを国際共同開発する.第3に,近年移動した巨礫の調査結果を元に,外力である沿岸域の暴波浪およびスーパー台風特性を逆推定する手法を開発し,最後に確率台風モデル等を組合せ,過去巨礫群を説明可能な1万年単位の最大級の暴波浪とスーパー台風の強度についての逆推定を実施する.
本年度は,近年の極端イベントにより移動が確認されている巨礫群の位置,3D形状,物性,陸上および海底地形について,コロナウイルスの影響により海外調査の代わりに先島諸島・石垣島で計測を実施した.特に巨礫の3Dデータおよびリーフ上の詳細な海底地形の計測に成功した.観測と並行して,数値モデル開発を進め,質点移動として台風石の移動をリーフ上の流体力推定から生成,回転・並行移動を計算する数値巨礫移動モデルを開発した.
海外の共同研究では,Frediric Dias・ダブリン大学・教授およびAndrew Kennedy・ノートルダム大学・教授と巨礫発生・移動モデルの開発を進めた.さらにアメリカNSFのプロジェクトISROCとの連携を深め巨礫データベース構築についてワークショップを開催するとともに議論を進めた.Wen-SonChiang・国立成功大学台南水理研究所・副所長とは,次年度以降の観測についての意見交換を行った.
【研究代表者】