災害時救急医療サービスに着目した道路網整備評価
【研究分野】交通工学・国土計画
【研究キーワード】
道路網評価 / 公共施設配置 / 道路ネットワーク / 広域計画 / 道路災害 / 山村計画 / 地域計画 / 過疎山村 / 救急医療サービス / インテジセ-プログラミングモデル
【研究成果の概要】
交通施設整備により交流圏が拡がるため、後背地が拡大し、地方でもより高度な施設を持つことができ、交通網の特性に応じた最適立地点を見出せばより大きな効果が期待できる。本研究はこの点に着目して交通施設整備の評価方法を開発しようとするもので、具体的には伝統的な公共施設配置モデルを用いて交通網及び人口分布と施設配置の関係を分析している。
シミュレーションスタディには2つの場合、1.四国全土を対象として高度の救急医療サービスを提供しうる施設の配置、特に極端な場合として豪雨災害により道路網が寸断された状況をも取りあげる。2.愛媛県上浮穴郡を対象として、一次的な救急医療サービスを提供しうる施設の配置を取りあげている。
1 四国の高速道路整備と高度施設の配置
四国全土を258ゾーンに分割し、約700ノード、1000(高速なし)、1200(高速あり)リンクの道路ネットワークを対象とした。その結果、より少数の施設、つまりより高度の施設配置の場合に、高速道路の整備によりカバー人口の大幅な拡大が見られることがわかった。また平常時と災害時とを比較すると、高速道路なしの場合にはより小数、つまり、より高度な施設ほど災害時にカバー人口率の値の低下を招くが、高速道路の整備は災害によって寸断された在来道路網を強固に連結でき、災害時の救急医療サービスに大きな効果をもたらすことがわかった。
2 上浮穴郡の道路網と施設配置
過疎山村の上浮穴郡では救急サービス費用の負担が大きいにもかかわらず、そのサービス水準は低い。現在の救急車配置地点は3であるが松山市と同様なサービス水準を確保するための施設数は31となる。このことは集落が散在し、道路網が樹枝状になっていることに起因している。
【研究代表者】