交通工学理論と機械学習を融合した道路交通システムの状態推定・将来予測・制御
【研究キーワード】
交通工学 / 機械学習 / 交通流理論 / 交通ネットワーク分析 / 統計的推定 / 強化学習 / スパースモデリング / 出発時刻選択問題 / 統計的機械学習 / シミュレーション
【研究成果の概要】
本研究はテーマA,B,Cに分かれて遂行する計画となっている.今年度はそれぞれのテーマで以下の研究に取り組んだ.テーマA:動的ネットワーク交通流の性質の交通工学理論に基づく数学的解析,テーマB:統計的機械学習に基づく交通状態・需要情報の推定・将来予測手法,テーマC:理想的な状況を仮定した強化学習による交通システム制御手法などを開発した.各テーマの具体的な成果を以下に述べる.Aでは,例えば道路利用者の属性に異質性がある場合の単純な道路ネットワーク上の出発時刻選択問題を解析することで,その動的利用者均衡配分と動的システム最適配分を導出し,それらの類似点と相違点を明らかにするとともに,実際の制御についての理論的な示唆を得た.テーマBでは,例えばスパースモデリングに基づく県間旅行行動の長期分析を行い,COVID-19のような大規模事象に応じてどのように需要が変化するかを明らかにした.また,GPSデータにもとづく都市規模の観光流動分析手法や,高速道路上の交通状態推定手法を開発した.さらに,交通サービスのユーザーの利用動向を観測し,その行動モデルを構築し交通サービス固有の状況との関係を明らかにした.テーマCでは,例えば強化学習手法として知られるQ学習を用い,比較的単純な道路ネットワークに対し観測可能な交通情報のみから最適な動的混雑課金を漸近的に求める手法を開発し,シミュレーションにより検証した.また,自動運転システムの運行計画を最適化するためのヒューリスティックなアルゴリズムを開発した.
【研究代表者】