新規窒素ドープ炭素材料を活用した新興汚染物質の促進酸化処理技術の開発
【研究キーワード】
新興汚染物質 / 炭素材 / バイオマス / グラフェン / 吸着処理 / 促進的酸化処理
【研究成果の概要】
医薬品などの新興汚染物質の多くが難分解性を示すため、従来の生物処理では十分に除去することができない。本研究では、新興汚染物質を効率的に分解可能な酸化処理技術を開発する。熱分解処理法などを活用してバイオマスから多孔質性のグラフェンを合成することで、低廉で資源制約のない炭素吸着剤を創出する。そして、実環境を想定した汚染物質の吸着除去試験を通して、新たな水処理技術を開発する。研究初年度は、低廉なバイオマスであるクラフトリグニン(木材加工産業における廃棄物)を材料とした多孔性炭素質材料の合成を行った。鉄系触媒存在下での熱分解や燃焼温度の最適化、強酸処理を行い、リグニン廃棄物より磁性グラフェン様炭素材など種々の多孔性炭素材を合成した。合成材料の物性特性には、電子顕微鏡やBET表面積分析などを用いた。また、新興汚染物質の代表として、ビスフェノールa(BPA)とデキサメタゾン(DEX)を選定し、合成された炭素材の処理性能を評価した結果、10分以内の迅速な吸着除去性能を確認できた。さらに、過硫酸塩(PMS)を添加することで、促進的酸化(AOP)処理を行った結果、炭素材はPMS系でラジカルの発生を活性化し、BPAとDEXの分解において触媒的機能を発揮することが確認された。汚染物質の除去効率と変換生成物を液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)により分析を行った。また、ここで使用した磁気特性を有する炭素材は、炭素材再生過程で磁気分離・回収が可能であることも確認できた。
【研究代表者】
【研究種目】特別研究員奨励費
【研究期間】2021-04-28 - 2023-03-31
【配分額】2,300千円 (直接経費: 2,300千円)