安全・高性能なナノチューブベース二次電池の開発と、温室効果ガス排出削減効果の評価
【研究キーワード】
二次電池 / ナノチューブ / 安全・高性能 / 低炭素化 / 技術評価
【研究成果の概要】
項目1. 高エネルギー密度・高安全性二次電池の開発:カーボンナノチューブ(CNT)スポンジ膜に多硫化リチウム(Li2Sx)を担持する「半溶解性活物質」の設計思想で高エネルギー密度Li-S電池の開発に取り組んだ。CNT膜に電解質かつ負極安定剤としてのLiTFSIとLiNO3と、活物質のLi2Sxを担持、Li箔とセパレータを積層して溶媒を加える簡易な方法で、全電池を作製し評価した。低粘度の溶媒を最後に添加することで溶媒の正極・セパレータへの濡れ性を改善、50および100サイクル時に電池内容物全質量基準で393および358 Wh/kgcellの高容量を達成した。またコンフォーカル顕微鏡を導入し、塩や活物質担持時や充放電時のCNT膜ベース電極の構造変化の分析環境を整備した。
項目2. 常温でも高温でも動作する二次電池の開発:チタン酸リチウム(LTO)-CNT正極、BNNTセパレータ、リン酸鉄リチウム(LFP)-CNT正極に、イオン液体電解液を用い、100℃で40サイクルの高温動作を実現した。また、全固体電池評価セルを導入し、固体電解質溶液の含浸担持による全固体電池の開発に着手した。
項目3. 電池の製造・利用・廃棄のLCA:電池製造時の環境負荷は、原料選択、高温焼成やドライルームの工程削減で大きく低減する筈である。黒鉛負極とNCM正極からなる現行LIB、次世代のLi-S電池、および本研究で開発しているLi2Sx-塩-CNT正極を用いたLi-S電池のLCAをCradle-to-Gateで実施して比較検討、環境負荷の大きい正極を変えることによる温室効果ガス(GHG)排出削減に加え、分散ろ過溶液含浸という湿式プロセスへの代替の際の溶媒の扱いの重要性を確認した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2024-03-31
【配分額】42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)