建物・街区・都市・地域の各規模にまたがる熱環境解析とアジアの巨大都市への適用
【研究分野】土木環境システム
【研究キーワード】
熱環境 / ヒートアイランド / シミュレーション / 気象モデル / リモートセンシング / 台北 / 重慶 / 都市開発 / 地理情報 / 体感温熱指標 / 成長管理 / RAMS / 清流復活
【研究成果の概要】
アジアの巨大都市の熱環境に関し、観測とさまざまなスケールのシミュレーション解析を行うとともに、その改善案を検討した。
実測調査に関しては、日本のような精緻な地理情報が存在しない中国の重慶市においては、魚眼レンズを用いた写真の解析により建物に関する数値情報を得て温熱指標を算出し、熱環境の観測により検証した。河川を復活させたことで有名な韓国清渓川の復元前後の比較を行い復元が熱環境に与える効果を見いだした。体感温熱指標の個人差についても検討を行った。
リモートセンシングにより地表面温度を推定する方法に関して大気の影響の補正を検討した。
重慶大学の協力を得て、リモートセンシングデータによる土地利用の推定、エネルギー消費統計に基づく人工排熱量を考慮してRAMSによる重慶市の熱環境解析を行った。RAMSに都市キャノピーモデルを組み込むことによって重慶市の気象のモデル再現性が向上したことを気象実測値との検証で明らかにした。重慶市で計画されている人口倍増、都市面積倍増の大規模開発が熱環境に与える効果を予測した。新規都市域では5℃程度、既成市街地では1℃程度の温度上昇が予測された。また、昼間の40℃以上の高温域と夜間の30℃以上の高温域の面積がそれぞれ2.4倍、3.7倍に拡大した。さらに、この温度上昇に対する種々の緩和策の効果をシミュレーションで予測した。
台北市を対象に街区規模の熱環境シミュレーションを行った。エアコンの排熱とエアコンの使用時間帯を考慮した計算を行った結果、エアコンに由来する建物周辺の気温上昇は最高1.8℃に達した。夜間の熱環境改善のために、水冷式空調機を導入し、また昼間の熱環境の改善のためにミストスプレーや光触媒による水薄膜形成による冷却効果を推定した。
【研究代表者】