多国籍企業の立地決定のダイナミクス
【研究キーワード】
多国籍企業 / グローバルバリューチェーン / cover-19 / サステイナビリティ / BOPビジネス / 立地特殊的優位 / 立地ポートフォリオ / グローバルサプライチェーン / covid-19 / 立地 / LOF / 多様性 / 企業特殊的優位
【研究成果の概要】
本研究課題は、多国籍企業による活動拠点の立地決定とその経時的変化を、明らかにするものである。今日のグローバルビジネスでは、フラグメンテーションの進展とICTの活用によりバリューチェーンが国境をまたいで展開され、グローバルな生産ネットワークが構築されている。そうしたなか、各国の活動拠点は多国籍企業のバリューチェーンのなかに組み込まれ、中間財取引を介して相互依存の関係におかれる。そうした拠点間の取引関係を立地ポートフォリオ構築・再構築のなかで記述することの必要性を明らかにした。
2020年初に発生したCovid-19パンデミックは2021年においても猛威をふるい、ソーシャルディスタンシングや感染者・濃厚接触者の隔離、人流・物流の停滞により、世界中の国々で多くの人たちの経済活動や消費活動への参加を妨げ、供給と需要の複合ショックが発生した。またグローバルなバリューチェーンの寸断により、ある国で発生した経済ショックは瞬時に他国へと広がっていく。さらには、経済ショックは生活スタイルのニューノーマルを引き起こし、需要の構造変化をも引き起こし、そうした変化にも対応すべく多国籍企業はグローバル戦略と組織の再編に動いている。その一環として、環境負荷などの社会的費用を内部化した形でのサステイナブルなグローバル事業再構築の動きを指摘した。
こうした立地特殊的優位の変動への対応としての多国籍企業の立地決定は、途上国ビジネスにも大きな影響を及ぼしつつある。とりわけ最貧国とされるBOPでのビジネスを、グローバルなバリューチェーンにいかに組み込むかが、多国籍企業にとっても途上国にとっても重要な課題となっている。こうした動きは、これまで成功が困難であったBOPビジネスに新たな視座をもたらすことを示唆した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田中 悟 | 神戸市外国語大学 | 外国語学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)