活生汚泥中のPHA蓄積細菌群集の解明と廃水からの生分解性プラスチック生産への応用
【研究分野】環境技術・環境材料
【研究キーワード】
生分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカン酸(PHA) / 活性汚泥 / 有価物回収 / マイクロマニピュレーション / 16SrRNA / phaC
【研究成果の概要】
本研究では、活性汚泥という複合微生物系の中でPHA蓄積をおこなっている微生物を明らかにし、PHA蓄積菌もしくはPHA合成遺伝子の種類と、生成するPHAの種類との関係を明らかにすることを目的とする。これらの知見から、活性汚泥によるPHA生産のメカニズムを理解し、制御法を確立することを目指す。
昨年度に続き、本課題最終年度である今年度も、PHA蓄積細菌を選別して系統学的に特定し、それらを特異的に検出する遺伝子プローブを設計することで、活性汚泥中のPHA蓄積菌の全体像を把握することを目指した。PHA蓄積細菌の選別にマイクロマニピュレーションを用いた昨年度に対し、今年度はPercon溶液を用いた密度分離法による濃縮を用い、その有効性を示した。密度分離後に回収した試料中に存在した、7グループ(Candidatus "Accumulibacter phosphatis"、Dechloromonas属、Zoogloea属、Thauera属、Comamonas属、Pntative novel b-proteobacteria cluster、Candidatus "Competibacter phosphatis")に帰属する7種の細菌に対して特異的なプローブを設計し、FISH・NileBlueA同時染色により、これらの細菌群が活性汚泥試料内に存在するPHA蓄積細菌群集のおよそ2〜4割を占めることを明らかにした。
また、実験室内PHA蓄積リアクター中の、pbaC遺伝子の挙動をT-RFLP法により解析した昨年度の研究を進め、phaC遺伝子のうちある遺伝子型が、PHAの中でも3H2MVといわれる特殊なPHAの生産能力と強い相関をもつことを明らかにした。これは、phaC合成遺伝子のタイプが生成するPHAのタイプに大きな影響を持つ可能性を示したものである。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)