都市気候と空調エネルギー需要の相互作用感度(PFB感度)の定量化とその国際比較
【研究分野】土木環境システム
【研究キーワード】
気候変動 / 都市気候 / 空調エネルギー需要 / ポジティブフィードバック / 相互作用感度 / 国際比較
【研究成果の概要】
都市域での“気温上昇→冷房需要増→人工排熱増→更なる昇温”のポジティブフィードバック(PFB)による気温と空調エネルギー需要の相互作用感度(PFB 感度)を独自の都市気候数値モデルを用い世界で初めて定量化した。夏季大阪では休日に対する平日のエネルギー消費と排熱の増加→気温上昇→電力消費増のPFBにより、実測ベースで平日の冷房電力需要について約10%増のPFB感度が推計され、この感度は独自モデルにより再現可能であった。検証後のモデルを大阪とジャカルタの気候予測計算に適用し、夏季の将来地上気温に対するPFB感度を解析した結果、両都市の気温上昇量の3~4%がPFBに依りもたらされる事が推計された。
【研究の社会的意義】
“都市の気温上昇→冷房需要増→人工排熱増→更なる高温化”、この悪循環は都市ヒートアイランド現象の代名詞とも言える古典的問題であるが、その具体的な影響は未解明であった。本研究の学術的意義は、独自の都市気候数値モデルを用いて上述の悪循環の影響を世界で初めて定量化した点にある。結果として、悪循環は、夏季大阪の平日の冷房電力消費量を約10%増加させ、大阪とジャカルタの2070年代までの将来気温上昇量の内、その3~4%を引き起すものと推計された。以上により、都市の温暖化やその影響の予測において従来考慮されてこなかった悪循環の位置づけを解明した事で、今後の温暖化対策への貢献も期待できる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
井原 智彦 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
大橋 唯太 | 岡山理科大学 | 生物地球学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
高根 雄也 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | エネルギー・環境領域 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)