生物活性炭処理における細菌群集の有機物利用特性と生物同化性有機物の除去機構の解明
【研究分野】土木環境システム
【研究キーワード】
環境技術 / 生物活性炭 / 細菌群集 / 生物同化性有機物 / 再増殖 / 生物同化性炭素 / 微生物群集 / 高度浄水処理 / 呼吸活性 / 分子生物学的手法 / 上水道
【研究成果の概要】
各地の浄水場に高度処理として導入されているオゾン-生物活性炭処理を対象として、生物同化性炭素(AOC: Assimilable Organic Carbon)の除去に関与する活性炭付着細菌群集を評価した。
本年度は、AOC成分に応答して呼吸活性を上昇させた細菌群集を、CTC(5-cyano-2,3-ditolyl tetrazolium chioride:呼吸によってCTCが還元されると蛍光性のCTCホルマザンが生成する)によって検出した後、高呼吸活性を有する細菌のみをフローサイトメーターで分取し、16S ribosomal RNAを標的としたFISH法(Fluorescence In Situ Hybridization)によって細菌群の同定を行うという手法を確立した。
確立した手法に基づいて、2箇所の浄水場から生物活性炭を採取し、AOC成分に応答する細菌群を評価した。AOC成分として酢酸、ギ酸、シュウ酸の3種類の低級脂肪酸を選択し、採取した生物活性炭にそれぞれ5mgC/Lになるように個別に添加した。経時的に呼吸活性を評価すると共に、高呼吸活性の細菌群を分取・同定した結果、無添加系では活性炭付着細菌の呼吸活性は、全菌数比の15%程度であったのに対して、低級脂肪酸を添加した系ではその比率は30〜40%に達した。高呼吸活性を有する細菌の群集構造を評価したところ、低級脂肪酸の種類によらず、Betaproteobacteria、Planctomycetesに近縁な細菌群が優占しており、低級脂肪酸の除去にはこれらの細菌群が関与していることが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(スタートアップ)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】2,700千円 (直接経費: 2,700千円)