都市沿岸域における雨天時越流水に起因する糞便汚染の評価手法の開発
【研究分野】環境モデリング・保全修復技術
【研究キーワード】
環境質定量化・予測 / 雨天時汚濁 / 流動水質モデル / 合流式下水道 / 糞便指標微生物モニタリング / 下水マーカー / 医薬品類 / 腸管系ウイルス / 微生物モニタリング / 水質汚濁 / 土木環境システム / モニタリング / 環境分析
【研究成果の概要】
隅田川上流部から台場周辺海域において降雨後経日的に水質調査を実施した結果、合流式下水道雨天時越流水に伴う糞便汚染状況を把握した。微生物指標類の時空間分布は、潮汐に伴う混合希釈、さらには塩分や日射による死滅や分解の影響を受けること、指標細菌と易分解性の医薬品類の間には高い相関があること、細菌類間の相関は非常に高い一方でF-特異と体表面の大腸菌ファージ間の相関は低いことなどが明らかになった。また、類型化された区部における降雨特性と潮位を組み合わせた条件での3次元流動水質シミュレーション結果を活用することで、お台場における大腸菌数のピークを再現できる水浴の適・不適を予報するシステムを構築した。
【研究の社会的意義】
多数の地点から雨天時越流水の影響を受ける東京湾沿岸域において広域で経日的な水質調査を実施して、大腸菌や糞便性大腸菌群のような細菌指標だけでなく、糞便マーカーとして大腸菌ファージ、下水マーカーとして医薬品類や合成甘味料なども含めて分析を行い、それらの存在状態や消長、相互関係を整理していることは意義深い。また、大腸菌消長モデルを塩分だけでなく、紫外線による死滅も考慮したものへと改良して、3次元流動水質モデル計算により台場周辺海域における糞便汚染状況を評価する手法を開発した点も高く評価できる。その手法を基礎に、お台場における水浴の適・不適を予報するシステムを構築した点も社会的に意義深いものである。
【研究代表者】