メコン流域の最適水行政支援システムのための分布型水循環モデルの活用と現地総合調査
【研究分野】水工水理学
【研究キーワード】
メコン川流域 / 分布型水文流出モデル / 標高データ改良 / 土地被覆分類 / GIS / 洪水分析 / 洪水被害予測 / メコン川水文学 / 洪水シミュレーション / 分布型水循環モデル / 水資源計画 / 最適水行政支援システム
【研究成果の概要】
まず、既存の容易に得られる地理情報データをベースとして、メコン川流域を対象とした分布型水文流出モデルを開発した。この分布型水文流出モデルを用いた流量シミュレーション値を観測値と比較した結果、様々な開発シナリオ下での影響評価に用いるためには、既存のデータセットを相当程度、改良することが必要であることが判明した。そのため本研究では、流域の水文データ、気象データ、地形データなど現地においてしか得られない物理データの取得に力を注ぐこととした。これらデータ収集の結果としてメコン流域全体の水文流出シミュレーションのための地理情報データセットの改良が行われ、また、入力となる90地点の流量観測データ、99地点の雨量観測データもデータベース化された。土地利用、標高、土壌特性のデータも流域全体において整理された。特に標高データに関しては、ホートン係数を様々な流出寄与域密度に対して計算し、妥当性の検証を行った。
これらの修正、構築されたデータセットおよび開発されたモデルを用いて、過去20年にわたるメコン川の流量特性の変化を算定した。その結果として、流域の流量特性が水関連社会基盤の開発によって大きく変化してきたことが判明した。低水は一般に増加し、高水は一般に減少している。一方で、一般的傾向はそうであるものの、過去の記録を超えるような極端な高水や極端な低水も見られるようになった。また、場所によっては、水需要が当該地域の流出を上回り、本流の水資源を減らす方向に働いていることも示された。
また、加えて、洪水浸水とその被害予測の数値モデリング研究も行った。さらに、将来の水需要アセスメントを行う際の大きな障害は水関連社会基盤の情報が得られないことであるが、emailベースのデータ収集システムを開発した。
【研究代表者】