振動特性を考慮した三次元点群データによる橋梁変位計測システムの開発
【研究キーワード】
橋梁振動 / 動的挙動 / 変位 / 動画分析 / 三次元点群データ / モニタリング / 振動特性 / 振動誤差
【研究成果の概要】
本研究は,三次元点群データを用い,橋梁支承部等の変位取得を行う計測システムの構築を目指している.特に振動による誤差を低減するため,振動特性を考慮した三次元点群データによる橋梁変位計測システムの開発を目的としている.
本年度は振動誤差を低減方法に活用するため,動画から橋梁の振動を取得する方法について検討を行った.点群データの取得には,多くの地点から撮影した画像を組み合わせるが,まずは固定点から汎用デジタル一眼カメラにより取得した動画分析により橋梁の振動や変位の把握を試みた.橋梁は常時微動しているが,本年度は振動の取得可能性を向上させるため,交通荷重による振動を対象とすることとした.本研究では動画分析方法として,日射や影等による明暗の影響を低減するべく,2次元フーリエ変換した画像の輝度情報である振幅情報を正規化し,位相情報のみを使用する位相限定相関法をベースとした方法により動画から橋梁の変位や振動の取得方法を構築した.
動画分析方法は,はじめに振動試験機に表面状態の異なる2種類の鋼材からなるモデルを設置し,振動させた時の変位および振動数を分析する室内実験を行い,高い精度での変位と振動数を取得できることを確認した.次に,実橋梁での適用実験を行った.実橋梁では交通荷重による変位と振動を対象とし,橋梁に設置した加速度センサやレーザー変位計の値と提案する動画分析方法により取得した振動および変位を比較した.実橋梁での実験では,風によるカメラ自体の振動が計測結果に影響を及ぼすことが確認されたが,車両通行による橋梁の変位や振動の取得可能性を確認することができた.一方で風等による常時微動の振動取得は振動レベルとピクセル値の関係から課題が確認され,またカメラ側の振動の影響も計測精度に影響することが課題であるため,点群データ取得に際して対応方法を検討する必要があると考えられる.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)