東アジア都市における仮設的空間の構成と「賑わいの場」の形成に関する比較研究
【研究分野】都市計画・建築計画
【研究キーワード】
公共空間 / 屋台 / 露店 / 占用 / 福岡 / 高密度 / 道路 / 市場 / 釜山 / 賑わい / アジア / 東アジア / 活性化 / トランジットモール / 中国 / 天津市
【研究成果の概要】
近年の都市計画の課題の一つは、都市本来が持つ「賑わい」の再生による都市の活性化であり、そのための方策が模索されているが、本来、アジアの各都市には路上の市場など近代化の中で見失われてきた、あるいは排除されてきた特色ある高密度に賑わう場があり、そこには可変的で柔軟な構成要素が恒常的な賑わいを形成してきたという共通点がある。
そこで、本研究では東アジアの都市における仮設物等で構成される賑わいの場の特性と優位性を明らかとすることを目的として、以下の対象地区での独自の現地調査を実施した。
(1)福岡市において、屋台を含めた都市内に立地する屋台を含め、都市内で仮設的な設えを伴う仮設空間とその構成要素を抽出し、立地条件、設えのタイプ、営業形態により類型化を行い、仮設空間の機能を整理した。更に、現在約180件の屋台が3つの屋台組合に所属して、道路法等の許可を得て営業しているが、その屋台の道路上の立地条件の調査を行い、類型を明らかとした。
(2)天津市のトランジットモールの仮設空間の調査を実施し、夏季における仮設物が多数出店したトランジットモールの実態を冬季と比較することで、仮設物の増加による賑わい創出の効果を明らかとした。
(3)釜山市の国際市場地区の屋台・露店で賑わう道路の空間構成、時間変化、人のアクティビティ変化を記録し、仮設物の類型と機能、人のアクティビティとの関係を明らかとした。
(4)バンコク郊外の水上マーケット(Damnoen Saduak Market)における現地調査を実施し、水郷地帯における運河を利用した仮設的な市揚の空間構成(平面構成、断面構成)を測量して空間の特徴を明らかとした。
以上の各都市の特徴的な空間構成やそこでの人のアクティビティに関する調査・分析結果から、仮設性と可変性といったその空間的特性、一見無秩序に見える屋台や露店等で構成される空間構成の類型、地区中の人の回遊行動のパタンなどを明らかとし、道路等公共空間の占用等のアジアの都市近代化に共通の関連課題の抽出を行った。
【研究代表者】