景観基本法の提言にかかる研究
【研究分野】都市計画・建築計画
【研究キーワード】
都市計画 / 風景計画 / 景観規制 / 眺望 / デザイン・ガイドライン / デザイン規制 / 欧米諸国
【研究成果の概要】
「景観基本法の提言」に関して、研究を集約して以下の11の提言にまとめた。
1.風景基本法(仮称)を制定し、国と地方公共団体の責務を明らかにする
2.法定の風景基本計画づくりを風景基本法の中で規定する
3.電線の地中化や屋外広告物規制など、新しい風景づくりへと法の対象を拡大する
4.「風景の保全と創造」を建築基準法や都市計画法など、既存の建設関連法規の目的の中へ加える
5.建設関連法規の記述において、規制はナショナル・ミニマムであることを明記し、そのような運用に移行する
6.特別用途地区などの新たに改正されてきた既存制度を積極的に活用する
7.風景向上施策を戦略的に進めるための重点地区を指定する
8.各地で制定されてきている景観条例に対して、風景基本法において根拠を与える
9.デザイン審査制度を導入する
10.デザイン・ガイドラインを作成する
11.都市景観規制およびデザイン規制に関する専門職能を確立する
なお、この提言を含む研究成果の全体について、『日本の風景計画』と題して、学芸出版社より平成15年6月頃に出版予定である。
以上の具体的提案をまとめると、第一に風景基本法制定の提言、第二に既存制度を改善することによる統合的風景行政の推進、第三に風景の質の向上のための具体的な諸施策の提言、の3つに大別できる。特に風景基本法の制定に関しては、先進諸国の風景法制を概観し、わが国の風土にあった法制度の提言を行う工夫をしている。この主張は国の施策にも取り入れられる可能性が高く、今後さらに詳細な法制度上の検討を重ねる必要がある。同時に、風景関連の規制の具体的なあり方について、実務面にまで踏み込んだ施策の提言を今後行っていく必要がある。
【研究代表者】