ドイツの都市計画合意プロセスにおける無作為抽出市民による計画細胞会議
【研究キーワード】
ドイツの都市計画 / 無作為抽出 / 計画細胞会議 / 市民会議 / 住民投票 / 合意形成 / 市民参加 / 民主主義 / 無作為抽出の市民 / サイレントマジョリティ
【研究成果の概要】
無作為抽出で選ばれた市民によるPZ(プラーヌングツェレ、計画細胞会議)の38事例に関する調査を継続的に行った。ドイツ国内ではこの25年間で、平均すると1年に1から2回実施され、州ではバイエルン州が6事例と最も多く、市ではベルリン市が3事例、ミュンヘン市が3事例となっている。PZのテーマは多岐にわたっているが、都市計画が12事例とほぼ1/3を占めている。また、対象年齢も近年は14才以上とするケースが増えていて、こどもと青少年の意見が重要視される傾向にある
PZ実施の背景は大きく二つに分けられる。ひとつはこれから実施する施策に関して無作為抽出で選ばれた市民と意見交換をしながら施策の方向を決めていくタイプ①。もうひとつは、ある施策に関して市議会や行政、市民の意見が分かれ、施策の決定が難しい場合に、無作為抽出の市民と共に再度丁寧に議論をし直して、新たな方向をみつけていくタイプ②がある。いずれにしても、市民の平均的な意向を確かめ、その後の施策に生かす重要な手法ということができる。住民投票との関係でいえば、タイプ①ではPZの後に、確認の意味で住民投票を行うケースがある。またタイプ②では住民投票によって意見の対立が明らかになった後にPZを行っているケースがある。
さらに近年では、州や市レベルではなく、ドイツ連邦レベルでBuergerrat(ビュルガーラート、市民会議)が開催されている。たとえば、2021年1から2月にはドイツ全土で無作為抽出の160人の市民によって「世界におけるドイツの役割」というテーマで50時間のオンラインセッション形式で実施されている。名称はPZと称されてはいないが、そのプロセスはほとんど同じで、参加者の規模が大きくなっている。このことから、無作為抽出の市民による会議は、地区レベルの計画から市全域、さらに州や連邦レベルの施策まで、実に幅広く応用されていることがわかる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)