人、モノ、情報の交流から捉えた東北アジア・環日本海地域の近代以降の都市空間形成史
【研究分野】都市計画・建築計画
【研究キーワード】
都市形成史 / 都市空間 / 大連 / 釜山 / 仁川 / ウラジオストク / ハルピン / ロシア極東 / 馬山 / 群山 / 木浦 / ハルビン / 東北アジア / プラゴベシチェンスク / ハバロフスク / 環日本海
【研究成果の概要】
「第1編 前提と方法論の検討」では、まず基礎的な前提の把握を行った。「第1章 東北アジアにおける鉄道敷設・都市の動向と人・モノの移動」においては、(1)鉄道敷設の歴史、(2)環日本海圏の主要都市を、極東ロシア、中国東北部、朝鮮半島に分けて把握した。そして主に20世紀前半までの(3)環日本海圏における人・モノの移動、に関してさらに把握した。次に「第2章研究の視点」において、圏域概念の基礎として、(1)東北アジア地域の国家勢力の移り変わり、を整理し、(2)近代以降の東北アジア都市形成史研究の視点と方法に関して考察を行った。さらに具体的な研究視点の検討を中国東北部・ロシア極東を対象として行い、(3)中国東北部・ロシア極東における都市形成主体の多様性として、研究上の視点を明確化した。
「第2編 ロシア極東/ウラジオストクの事例」ではこれまでの研究蓄積があるウラジオストクを対象として、具体的な研究方法論を事例にそって検討した。「第3章 ロシア極東植民都市の初期市街地計画における空間条件」では地政学的な背景との関連で市街地計画のあり方を考察した。つづく「第4章 ウラジオストク中心市街地における各国人の居留とその空間展開」では、流入する人種と形成された社会層を軸に、都市空間の形成の解明を試みた。
「第3編 東北アジアのアーバンヴィレッジ」では、ウラジオストク(第5章)、大連(第6章)、仁川(第7章)における歴史的地区を事例に現状調査から都市空間形成とその要因、そしてそれぞれの都市空間の持つ意味と価値について考察した。
本研究は、ロシア極東、中国東北、朝鮮半島の、計10都市にて調査を行ってきたが、現在(2002年3月)も継続して研究を行っている。紙幅の関係上、本報告書で掲載できなかった部分も多いが、末尾の「資料編」に、これまでの研究協力者による論文概要として計4本、学会等での発表梗概を計21本収録し、内容を補足した。
【研究代表者】