19世紀末英米文学における都市の表象に関する新歴史主義的研究
【研究分野】英語・英米文学
【研究キーワード】
都市 / 田園 / 文学地理学 / 都市退化論 / 自然主義 / シカゴ / 自然 / 文学空間論 / 都市の表象 / 文学と地理学 / 都市と消費文化 / 都市遊歩者 / 都市と退化 / 都市と建築 / 地理学 / 表象としての都市 / 権力 / 消費文化 / 群集 / 退化 / 建築
【研究成果の概要】
(1)本研究は、歴史研究と文学研究をまたがって学際的に都市論を研究することと、可能なかぎり新しい一次資料を発掘してアメリカおよびイギリスの都市の表象を新歴史主義的に分析することを目的としたものだった。
(2)ホーンズは、1880年から1925年にかけてのアメリカ文学の作品を具体的題材として、交通、移動、コミュニケーションという概念をふくめた、都市における空間と場所の表象が、作品解釈上、いかに重要な働きをなしているかを、最新の文学地理学の成果を援用しながら考察した。
(3)丹治愛は、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』をとりあげながら、都市問題と当時の退化論の関係、退化論と精神病の関係、ウルフの患っていた精神病とその治療法として薦められていた田舎での安静療法、モダニズムの都市経験とウルフの文学の関係について考察した。
(4)丹治陽子は、アメリカの都市イメージの歴史をピューリタン時代から概観しながら、シオドア・ドライサー『シスター・キャリー』のなかにあらわれている自然主義的な都市のイメージについて考察した。
(5)矢口は、19世紀に史上稀にみる勢いで成長したシカゴに焦点をあてた。とりわけ殺人などの凶悪犯罪がシカゴを中心に扱った小説や新聞報道のなかでいかに表象されたかについて分析することで、都市を主題にした当時のテキストの「領界」を歴史的に考察した。
【研究代表者】
HONES Sheila (HONES S. / HONES S) 東京大学 大学院・総合文化研究科 助教授
(Kakenデータベース)