EU知的財産法の研究
【研究分野】民事法学
【研究キーワード】
EU法 / 著作権法 / 知的財産法 / 属地主義 / 著作権 / 創作性 / EU / インターネット / データベース
【研究成果の概要】
平成11年度においては、著作権ライセンスにおける契約自由の限界について、ドイツ法の規整を検討した。ドイツの著作権法は、著作者を交渉力の弱い者と想定し、強行規定を含む保護規定を置いている点で、わが国とは異なってある。わが国においては、著作権法中の契約コントロールに関する規定は僅かであるが、その一方で、著作権管理団体については、近年の制度改正で緩和されたとはいえ、なお監督官庁による規制が広汎に及んでいる点で対照的である。一定の権利制限規定を強行規定とするドイツ法の法政策については、その硬直性も指摘されている。
平成12年度においては、デシタル化の進展に伴う著作物利用契約のコントロールの枠組みにつき、アメリカとの対比も含め、EUの規整を調査・研究した。アメリカの制度においては、EUと異なり、契約そのもののコントロールは最小限に控えられ、むしろ、契約のエンフォースの段階で、市場力などを総合的にふまえ、広義の競争法の枠組みの中でコントロールが行われている。ただし、アメリカにおいても、現状への不満は根強く、そのコンテクストでEU法が参照される。
平成13年度においては、国境を越えて行われる著作物の利用契約の準拠法決定方法につき、ヨーロッパの法制を調査研究した。基本的には契約自治にゆだねつつ、ただし、法廷地ないし第三国の強行規定の適用をも視野に入れつつ、多彩な法政策が展開されていることが判明した。もっとも、この枠組み自体は、消費者契約等を素材としつつ、すでに国際私法の研究者によってわが国に紹介されている。本研究固有の貢献は、これを著作権契約という新たな分野について照射したことにあると考える。
平成14年度においては、EU著作権指令の域内各国著作権法への国内法化段階の調査を行った。具体的には、権利制限と技術的制限の保護との相克関係にっき、イギリスの立法提案を調査した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1999 - 2002
【配分額】2,800千円 (直接経費: 2,800千円)