人間と状況とのインタラクションとしての創造的設計プロセスの研究
【研究分野】都市計画・建築計画
【研究キーワード】
デザイン / 科学 / 行為 / 人間-環境系 / 言語 / 意味論 / モデル / 状況 / 建築 / 思考 / 状況性 / 創造性 / 論理 / モデル理論的意味論 / 意図
【研究成果の概要】
建築デザインにおいて創造性の創発に寄与する人間と状況とのインタラクションの数理モデルを構築した。いわゆる現実世界を形而上学的世界と投影的世界の二つの水準で捉え、状況(投影的世界の状態)を実情(形而上学的世界の状態)の像とする。また、設計やデザインに関する批評に用いられる記号システムや言語の指示対象を投影的世界とする。このモデルは、建築設計について理学や哲学のように数理論理的なルールに基づいて科学的に議論するための基礎を提供することを目論むものである。
数理モデルの構築するための実験装置として、人間-環境-社会の関係を複雑系として扱うシミュレータを開発した。意図的な行動の発生に関する思考実験や地球環境と共生する持続的な社会を実現に向けた制度設計の思考実験などを当該シミュレータによって行った。
また、このシミュレータの一部をデザイン支援システムの基本エンジンとして拡張した。
数理モデルは抽象化されたモデルである。建築デザインという現象について具体的に考察するために、設計における類推の代表例である『見立て』を表象レベルでの推論として表現するモデル、自然言語による漠然とした表現を形の生成操作に変換する双対深層構造、形態操作と記号操作(例えば、作曲)とを関連づけるモデルなどを、当該数理モデルを特殊化する例として提案した。
建築デザインにおける状況性に関する経験的データを得るため、実際の住宅設計における思考プロセスの分析、伝統的民家や伝統的町並みを現代の生活様式に適合させるための改良方法の分析などを行った。これらのデータを数理モデルの構造を定めるための基礎資料とした。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2004
【配分額】2,500千円 (直接経費: 2,500千円)