キリスト教美術におけるイメージの意味と物質性:新たな図像学の構想に向けて
【研究キーワード】
図像 / キリスト教 / 物質性 / 行為遂行性 / エージェンシー / 図像学 / イメージ / マテリアリティ
【研究成果の概要】
キリスト教美術におけるイメージの意味と物質性の関係を対象とする新たな図像学の構想を具体化することを目的として、何らか神格的存在、現実や自然を超越する者、あるいは祖先のような現世における不在者などを人間がいかにして想起し、交渉するかという方法とそのあり方を明らかにするという共通の問題を設定し、物質性(マテリアリティ)を主要な観点として文化人類学系の研究者と美術史系の多数の研究者により幅広く共同研究を行うことで中間的成果を論文集の形で2021年度末に計23編の論文を含む共著論文集の形で刊行することできた(木俣元一・佐々木重洋・水野千依編『聖性の物質性 人類学と美術史の交わるところ』三元社)。研究代表者が宗教と物質性に関わる序論を執筆し、分担者から佐々木が文化人類学分野における物質性のテーマに関する基調論文、水野が美術史分野における物質性のテーマに関する基調論文を執筆し、新たな図像学の構想に向けて、本研究課題の遂行と平行して、図像学(イコノグラフィー)という方法論の課題と可能性に関して、とくに本研究で重点を置く物質性を中心として人類学と美術史の分野を中心としてヒストリオグラフィ―の整理並びに確認を行うことができた。空間的関係性、時間的関係性、可視性/不可視性、開示/隠蔽、媒材/素材/媒体、五感への働きかけ、装飾と文様、技術・技法・テクノロジー、文字、発話・発声、消去と破壊、身体・現前・不在、動物や植物などの生命体などの論点を立てて考察を進め、1.経験・思考・想像力、2.人格・エージェンシー・生動性、3.聖性・奇跡・交渉、4.空間・環境・設え、5.儀礼・パフォーマンス・演出という構成により、本科研費の研究組織を越えた分野横断的で多領域に渡る論文を系統的に配列した。研究代表者及び研究分担者は、研究成果を雑誌論文、図書等を通じて公表を進め、事例研究に関する資料収集も進めることができた。
【研究代表者】