RC造建築物の室内乾燥による力学特性変化の実証
【研究キーワード】
鉄筋コンクリート / 乾燥 / 力学特性 / 経年変化 / 静的載荷実験 / 建物 / コンクリート / 耐震性能 / モニタリング / 固有周期 / ひび割れ / 建築物 / 連層耐震壁 / 数値解析
【研究成果の概要】
乾燥の有無をパラメータとした静的載荷実験に用いる大規模骨組み試験体のうち,本年度は,1年目に実施した非乾燥試験体の実験結果の分析を行うとともに,2年目に製作した乾燥試験体(4年目に載荷予定)の状態変化計測を継続した。
1.非乾燥試験体の静的載荷実験結果の分析
1年目に実施した非乾燥試験体の載荷実験の分析では,得られた実験結果の中でも特に耐震性能評価において重要な水平力―水平変形関係(初期剛性および降伏点)について,耐震壁に対して広く一般に用いられる壁エレメントモデルによる解析結果との比較を行った。初期剛性は,推定誤差は5%程度と良好に再現した。降伏点変形は,最上階では曲げ変形をやや過大評価,せん断変形をやや過小評価したものの,全体変形としては誤差5%程度で推定した。ただし,降伏点変形については,2階床位置では曲げ変形を2倍程度に過大評価し全体変形も1割以上過大評価した。全変形成分のうち曲げ変形成分が占める割合は,弾性状態において75%,降伏点において84%,であり,変形の進行に伴い増大した。今後は,載荷実験において計測した詳細な実験データ(試験体各所の変形,鉄筋ひずみなど)を用いながら,実験と解析の違いについて分析し,より高精度な水平力―水平変形関係の評価手法を検討する。
2.乾燥試験体の状態変化の計測
昨年度に製作した乾燥試験体について,製作直後から実施している状態変化データ(歪分布,変形分布,内部応力,材料剛性および強度)の計測を継続して実施した。乾燥開始から1年以上が経過し,データの時系列変化は概ね収束してきていることから(乾燥収縮ひずみは700μ程度),載荷実験に向けたコンクリートの乾燥が完了しつつあることを確認した。
【研究代表者】