台風通過時の都市地域における建築構造物の強風危険度に関する即時対応型予測解析
【研究分野】建築構造・材料
【研究キーワード】
台風 / 都市強風災害 / リアルタイム予測 / 自動強風観測 / 強風危険度 / 流体解析 / 複雑地形 / 数値地図情報
【研究成果の概要】
巨大台風が都市地域に直撃することが予想される場合、時々刻々と示される台風の通路や爆風域の円から、我々がいる場合でこれから起こるであろう強風の具体的な状況はスケールが違い過ぎてなかなか捉えることはできない。しかし地形の微妙な変化の影響も含めて都市内外部での強風のレベルを迅速に予測できたとするならば、建築物などの構造的被害を最小に食い止めたり、あるいは住民に非難勧告を早期に出すなど防災上の急務の対策をたてる上できわめて有効であろう。近年のコンピューターの並列処理技術の発展を踏まえれば、こういった即時対応型予測の実現性がかなり期待できる。本研究では、数値地図情報を活用し、数値点の風観測データをモニタリングしながら、強風のシミュレーションを実施し、都市を含む数10km範囲での強風性状ならびにそれに基づく建築構造物が被害をこうむる危険度について、リアルタイム(台風が最接近する数時間前)で情報提供することの可能性が検討するものである。得られた成果を以下に示す。
1.強風データモニタリングシステムの構築
シミュレーションの対象とする地域を取り囲む数箇所の位置での強風観測を行い、大学内に設置されたシミュレーション解析室に強風データを転送するシステムを構築した。
2.都市部、郊外地域の解析モデルの設定
数値地図情報を用いて、シミュレーション対象地域の高度データを整理し、また、利用区分に基づき地表面の状態を確認しながら、流体解析を行うためのモデルを作成した。
15EA06:3.実地形上の風の流れのシミュレーション解析手法の開発
複雑かつ任意に形状が変化する実際の地形上の風の流れ解析を実施するために一般座標系を、また風の流れを大気の流動現象として捉えるために乱流および温度成層性の取り扱える支配方程式を導入した。
4.予測解析の実施と即時対応型の危険度評価の可能性の検討
強風データモニタリングシステムから得られた強風データに基づき、当該都市部、郊外の風の流動解析を実施し、建築構造物が被害をこうむる危険度について、即時に情報提供することの可能性を検討した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
伊藤 嘉晃 | 東京工業大学 | 大学院・総合理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1996
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)