損傷制御型RC造耐震壁の実現に向けた開発研究
【研究分野】建築構造・材料
【研究キーワード】
レジリエンス / ロッキングシステム / 方立壁 / 損傷制御型設計 / 機能維持 / 早期復旧 / 性能評価型設計法 / 損傷制御 / アンボンドPCaPC造 / セルフセンターリング / ひび割れ低減 / レジリエント / 強度型 / 靭性型 / 損傷評価 / 靱性型
【研究成果の概要】
近年,大地震に対しての安全性だけでなく使用性や修復性も重視した設計が建築物に求められている.こうした社会的需要に応える構造形式の1つとして,エネルギー消費要素を兼ね備えたアンボンドプレキャストプレストレスト構造形式による損傷制御型構造の実用化を軸とした研究を進めた.この構造は,部材の損傷を最小限に留め,エネルギー消費要素を付加したことで,履歴面積を大きくし,残留変形を抑制したフラッグシェイプ型の履歴特性を実現できる.こうした靭性型アンボンドPCaPC構造をRC造方立壁や袖壁に用いれば,耐震性能及び損傷制御性能を向上させ,地震後の早期復旧に繋がる技術を開発できたことが成果である.
【研究の社会的意義】
2010年版鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(建築学会,2010)では,枠柱のない壁板を耐震壁として扱うことを可能とする変更が行われ,建築意匠上は魅力的な空間構成が可能になった.これを追認する法改正が行われれば,矩形断面耐震壁部材は全国に波及すると考えられる.この矩形断面壁に関し,靭性型でありながら損傷制御に優れる圧着型PCaPC壁を開発し,機能維持性能を有しつつ設計者が意図する荷重-変形関係を利用できる基礎技術提供でき,建物の安全性はもちろんレジリアンスも格段に向上した社会基盤の形成が可能となった.
【研究代表者】